死産について

羊水過少

羊水過少とは、羊水の量が通常に比べて、異常に少ないことをさします。
一般に、羊水の量が100ml以下と想定される場合、
羊水過少だと診断されます。



羊水は、赤ちゃんにとって、大事な役目をたくさん果たしています。
代表的な、よく知られている働きをあげると、
1つは、お腹の中で、一定の空間を与えてくれること。
羊水があるおかげで、赤ちゃんはお腹の中で自由に動くことができます。

次に、外からの圧力から赤ちゃんを守ること。
赤ちゃんを外からの衝撃が直接加わったり、胎盤などに影響するのを、
羊水があることで緩和し、赤ちゃんを守っています。
また、赤ちゃんの運動の影響を、ママに直接響かないようにする役目もあります。

また、赤ちゃんは羊水を常に飲み、そしておしっこをしています。
羊水を飲むことで、赤ちゃんは体内の機能を成熟させていきます。
そのため、羊水を飲み、おしっことして出すことは、
赤ちゃんにとって、大変大きな意味をもつことになります。

羊水は、妊娠32週ぐらいまでは増加し、その後はその量を保持し、
妊娠40週を過ぎると減少していきます。


何らかの原因によって、この羊水量が減少するのが、
羊水過少です。

羊水は、産出量と、消費量によってバランスが取れています。
羊水は、母体血液からの滲出や羊膜上皮からの分泌によって
作られますが、妊娠4ヶ月以降においては、
羊水の産出のほとんどが、赤ちゃんが作り出す尿の成分が増え、
赤ちゃんが羊水を飲み、尿として出すことでバランスを保っています。

何らかの原因で、この赤ちゃんのおしっこが作られない場合、
また、消費量が異常に増えてしまった場合は羊水が減り、
羊水過少になってしまいます。

羊水の消費量の代表としては、前期破水による、
羊水の流出です。


羊水が極端に少なくなると、外部からの衝撃が伝わりやすくなり、
またへその緒も圧迫されやすくなるので、
胎児仮死を起こすことがあります。

また、赤ちゃんが飲む羊水がすくなくなってくるため、
赤ちゃんの肺などの形成に影響が出てきます。

原因がわからない羊水過少のケースもあります。
(特発性羊水過少)


羊水過少の原因は、破水による羊水の流出を除いて、
多くの場合、赤ちゃんに原因があることが多いです。

赤ちゃんが腎尿路系先天異常を持つ場合は、
妊娠の初期から高度の羊水過少になるため、
赤ちゃんの予後はきわめて悪くなります。

そのほかの原因による羊水過少のケースでも、
長期間の羊水過少が続くと、赤ちゃんの胸部への圧迫が
強く加わってしまうことや、赤ちゃんが羊水を十分に飲めないことで、
赤ちゃんの肺の発達が妨げられてしまうことから、
赤ちゃんの生命を直接左右する、重要な因子を抱えることになります。

また、早い時期から羊水過少になってしまうと、
羊膜と赤ちゃんが癒着してしまうことによっておこる
外表奇形(羊膜索症候群)や、羊水が少なくなったことで、
赤ちゃんに持続的に子宮壁からの外力がはたらき、
赤ちゃんの身体に変形を生じさせる場合があります。

妊娠22週以前の前期破水により発生した羊水過少に対しては、
人工羊水を持続的に注入したり、子宮頚管閉鎖などによって、
赤ちゃんを救命できる可能性がありますが、
感染防御が困難な場合が多く、
現時点では確立した医療にはなっていません。

妊娠24週以降に発生した羊水過少においては、
胎盤機能不全や、赤ちゃんの状態を十分に見ながら、
個々の状態に応じた分娩時期、分娩方法、
生まれてからの新生児管理方法などを考え、
対応していくことになります。


羊水過少の程度や、発症時期、持続期間によって、
赤ちゃんの予後を左右することになります。
胎児先天奇形、胎盤循環不全、胎児仮死などと密接に関係している場合もあるために
残念ながら予後不良な状態であることが多く、慎重な対応が必要になります。

2006年07月06日 09:06